事業再構築補助金、支援金…“過去最大級”の公的制度登場の今、やるべき「3つのこと+α」

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士業支援部の勝又でございます。

現在、予算1兆円超え・補助額最大1億円の注目補助金「事業再構築補助金」や、一時支援金、新型コロナウイルス感染症特別貸付の要件緩和など、新型コロナ対策のための公的支援制度が続々と発表されています。

しかしながら、公的制度に対して会計事務所としてどこまで、どのように対応していけばよいのだろうか…とお悩みの事務所様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本日は新型コロナ対策の公的制度が相次ぐ中で、会計事務所がやるべき「3つのこと+α」と題してお伝えさせて頂きます。

◇「公的制度支援に対して従来の方針のまま」は危険信号!

補助金・融資を始めとした公的制度支援については、「顧問先からニーズがあった場合にのみ対応し、事務所から積極的な提案・支援はしない」という方針をとられている会計事務所様が多いと存じます。

しかしながら、長引くコロナの今、
補助金や緊急融資などの公的制度支援を事務所主導で積極支援されている事務所様の元には、公的制度支援ニーズをきっかけとした税理士変更による顧問獲得が発生しています
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〇事例①:緊急融資のサポートをきっかけに税理士変更に
…緊急融資を受けたいと考え既存の税理士に相談したところ、事務所ではサポートしない旨の回答があり、自身で申請するのは不安を感じていたため融資サポートの依頼があった。無事に融資決定したことで、税理士変更による顧問獲得に繋がった。
〇事例②:補助金サポートをきっかけに、顧問単価がアップしても税理士変更に
…今の税理士が補助金・融資に対応できなかった・決算予測をしてくれなかったことに不満を感じていたところ、補助金サポートをきっかけに税理士変更による顧問獲得に繋がった。公的制度支援に関する情報提供をしてくれる点に価値を感じていただき、既存税理士よりも高い顧問料でありながら税理士変更となった。
〇事例③:補助金サポートをきっかけに、先代からの付き合い先の税理士から顧問変更に
…補助金サポートをきっかけに税理士変更による顧問獲得に繋がった。公的制度を継続支援してくれる事務所であるという点に価値を感じていただき、既存税理士とは先代からのお付き合いであった中、税理士変更となった。
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実際にこのような事例がある以上、公的制度支援に対して従来の方針のままでは、顧問先からの信頼が薄れていってしまう可能性もあります。

公的制度にできる範囲から対応していくために、まずは全ての会計事務所様に最低限やっていただきたい3つのことについてお伝えします。

◇基本ステップ:会計事務所がやるべき3つのこと

(1)経営革新等支援機関の認定を受ける
こちらは既に認定を取得されている事務所様がほとんどなのではないかと思います。
通称「認定支援機関」と呼ばれる制度ですが、2021年に新設された予算1兆越えの注目補助金「事業再構築補助金」では、申請要件の1つに“認定経営革新等支援機関とともに事業計画を策定すること”が定められています。また3月8日から申請受付が開始された「一時支援金」の申請においても、認定経営革新等支援機関等が事前確認することとされるなど、コロナ禍においてその重要性は高まっているといえます。
開業されたばかり等でまだ経営革新等支援機関の認定を受けていないという方は、税理士・公認会計士の資格をお持ちであればほぼ例外なく認定要件を満たすことができますので、是非お早めに取得されることをお勧めします。

直近の認定経営革新等支援機関認定スケジュールは下記の通りです。(詳しい申請方法や要件等の詳細は中小企業庁のサイトにてご確認ください。)
・認定日:2021年4月30日(第67号) 受付期間:2021年2月24日~2021年3月24日
・認定日:2021年6月25日(第68号) 受付期間:2021年4月19日~2021年5月19日

(2)最新情報をキャッチアップし、顧問先へ事務所から情報発信する
最新の公的制度支援制度については、サポートする・しないに関わらず、事務所主導で全ての顧問先へ情報発信をしていきましょう。
ポイントとなるのが、“事務所主導で”・“全ての”顧問先に発信するという点です。
現在は業種・業態ごとに様々な支援策が登場しており、補助金の予算枠も拡大されています。公的制度支援の対象範囲が従来と比較して大幅拡大となっていますので、全ての顧問先へ発信していきましょう。サポートまでは事務所の体制が及ばない…という場合も、事務所から情報発信をしておくことで、役に立つ情報を教えてくれる存在だ、と感じてもらうことが最低限重要です。
情報発信の手段としてはメールでの一斉案内が最も手軽なのではないでしょうか。
他にも、公的制度支援に関する情報発信を積極的にされている事務所様では、
〇顧問先との面談時に手持ちチラシを使って担当者から直接案内
〇チャットワークの自動送信機能を使って最新情報を発信

等のやり方をされているようです。
また、補助金の電子申請についてのご案内も全ての顧問先に発信することをお勧めします。事業再構築補助金・ものづくり補助金は電子申請のみの申請受付となります。令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金[一般型]においては郵送での申請も可能ですが、現在公募中の第5回から電子申請が加点措置となっています。今後補助金は確実に電子申請がメインになりますので、補助金を活用したいと少しでも考えている中小企業にはgBizIDプライムを早めに取得するようにご案内しておくべきです。
万が一3月は忙しくて情報発信ができなさそう…という場合でも、来月には補助金の次回公募のスケジュールを発信するなど、事務所の対応出来る最大限の範囲で情報発信をしていきましょう。

(3)最新の公的制度を踏まえ、事務所の対応範囲を今一度定め直す
 (2)でも述べた通り、現在は新型コロナウイルスを受けて業種・業態ごとに様々な支援策が登場しており、大型予算が設けられるなど公的制度の対象範囲が大幅に拡大されています。
例えば2020年度からものづくり補助金・IT導入補助金と合わせて過去最大規模の予算が設けられている小規模事業者持続化補助金ですが、平成30年度補正の採択数は約13,000件だったのに対し、令和元年度補正一般型・令和二年度補正特別枠の合計採択数は現時点で発表されている数だけで約80,000件に上ります。(第四回一般型および第五回特別枠の採択は未発表)
また、大型予算といえば1兆1485億円という予算枠が計上された「事業再構築補助金」ですが、採択予定数は55,000件となっています。こちらはものづくり補助金の平成24年度補正から平成28年度補正までの5年間の累計採択数と並ぶ数ですので、相当な数であることがご認識いただけると思います。
このように、公的制度の範囲が拡大され、会計事務所の顧客である中小企業がより多く公的制度支援を受けることができる状態となっている以上、事務所の対応範囲も今までと同じでよいかどうか今一度定め直すべきではないでしょうか。

◇+αのステップ:登場し続ける公的支援制度をチャンスととらえ、事務所の強みへ発展させる

ここまで3つ、最低限やっていただきたいことについてお伝えさせていただきました。
3つ全てのことが既にできている、という事務所様にチャレンジしていただきたいのが、ニーズ・支援策の対象範囲ともに盛り上がりを見せているこの機会に公的制度支援を積極支援することで、事務所の強みへ発展させていくことです。

現在多くの会計事務所は公的制度を積極支援できていない状態の中、多くの中小企業は積極的な公的制度支援をしてくれる存在を求めています

是非、この機会を事務所の成長チャンスととらえ、補助金・融資を始めとした公的制度を積極支援することで、「公的制度支援ができる事務所」の強みへ育てていただけたらと思います。

しかしながら、基本ステップ・+αのステップいずれの場合でも、情報のキャッチアップを自事務所だけではやりきれないというお悩みや、公的制度支援のサポートを開始してみたけれども、実務面での疑問点を解消したいというお悩みなどが起きてくるのではないかと思います。

補助金・融資を始めとした公的制度の専門勉強会「公的制度支援研究会」では、実際に公的制度支援業務に取り組まれている会計事務所の方々が多く所属され、会員様同士での情報交換やモデル事例事務所による講座等を行っております。
また、効率的に公的制度支援を行っていくための実務・集客・営業面での会員向けツールの提供も行っております。

初回のお試し参加は無料ですので、是非一度ご検討ください。

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【執筆者:勝又 野々香】

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