【相続の面談マニュアル/第2回】相続人・家族関係のヒアリング

いつも当メールマガジンをご覧いただきありがとうございます。

相続分野のコンサルティングをしております、船井総研の廣瀬と申します。私は特に、相続の面談・受任力アップ研修に力をいれており、これまで数多くの研修やロールプレイングをご依頼いただいてきました。

今回、研修やロールプレイングでお伝えしている「面談のポイント」をマニュアルとして整備しましたので、全6回に分けてその内容をお送りいたします。

第2回は「相続人・家族関係のヒアリング」です。

相続サービスにおいて「面談」が重要な理由

相続という商品・サービスは「面談」で大きな差が出ます。

具体的には、
・受任率
・受任単価
・LTV(追加で受任になるサービス群)
・顧客満足度
・リピーター率

といった数値に大きな差が出ます。
これらの数値は事務所の売上や生産性を大きく左右しますので、相続分野で業績を上げる最大のポイントは「面談」といっても過言ではありません。

相続の面談を因数分解すると、以下の6つ工程に細分化されます。
① アイスブレイク~全体工程の把握
② 相続人・家族関係のヒアリング
③ 相続財産のヒアリング
④ ヒアリング事項のまとめ・リスク検証
⑤ サービス紹介・価格提示
⑥ クロージング

今回は、② 相続人・家族関係のヒアリングについて解説していきます。
前回の内容は、こちらのコラムをご覧ください。
https://sozoku-samurai271.funaisoken.co.jp/uncategorized/post-8004

相続人・家族関係のヒアリングのポイント

アイスブレイク~全体工程の把握を終えて、いよいよお客様のヒアリングにはいりますが、注意していただきたい点として「ヒアリングの順番」があります。

船井総研が定義する「品質の高い面談」では、かなり細かいことまで根掘り葉掘りヒアリングをします。面談ロールプレイングをした際に「そんな細かいことまで聞くのは、おせっかいすぎませんか?」というお声をいただくこともあります。

しかし、その「おせっかいなヒアリング」こそが重要なのです。なぜなら、お客様が話してくれること=顕在的なニーズであり、本当に必要なサービスは「お客様が認識していない=潜在的なニーズ」に隠れていることが往々にしてあるからです。

そうなると、いきなり財産状況(お金のこと)について根掘り葉掘り聞くのは、さすがに引かれてしまう可能性があります。徐々に心理的な障壁が下がっていくことを踏まえ、まずは、ご家族のことからヒアリングをスタートし、次に財産状況のヒアリングを行います。

相続の面談では、ほとんどの先生方が「相続関係図」を図示しながらヒアリングをしていますが、このとき聞き取っている情報が法定相続人のお名前と続柄だけ、というケースがよく見られます。
船井総研では、必ずヒアリングしていただきたい情報として、以下の項目をあげています。

①相続人の年齢
②相続人の職業
③相続人の健康状態
④相続人の既婚/未婚/子供の有無
⑤相続人の居住エリア(遠方か地元か)
⑥コミュニケーション頻度、関係性
⑦生前に被相続人に対する介護サポートなどがあったか

これらをヒアリングする目的を整理します。
①相続人全員の年齢
 →高齢の相続人がいる=二次相続の検討につながる
 →手続きに時間をかけすぎると、数次相続や認知症の発生リスクが大きくなるため、専門家の介在価値訴求ができる
②相続人全員の職業
 →ご自身で手続きを進める余裕があるかどうかの判断につながる
 →おおよその資産状況が把握できる=遺産分割協議のリスクがあるかどうかの判断につながる
③相続人の健康状態
 →認知症の発症リスク、家族信託や任意後見の追加提案につながる
 →相続した後のライフプラン(介護・医療の負担)も踏まえた提案につながる
④相続人の既婚/未婚/子供の有無
 →遺言作成、お一人様対策など、二次相続の提案につながる
⑤相続人の居住エリア(遠方か地元か)
 →遺産分割協議に手間や時間がかかるため、専門家の介在価値訴求ができる
⑥コミュニケーション頻度、関係性
 →遺産分割協議がスムーズに進まない可能性があるため、専門家の介在価値訴求ができる
⑦生前に被相続人に対する介護サポートなどがあったか
 →遺産分割協議が難航する可能性・紛争リスクが高いため、専門家の介在価値訴求ができる

このように「おせっかいレベル」のヒアリングを行うことで「専門家であれば気が付くが、相談者が認知していないリスク」をテーブルの上にあげることができます。
この状態になってはじめて、「○○さんのご家族のご状況をお聞きすると、~~~といったリスクが考えられます」といった訴求ができます。そして、そのリスクを回避し、円満かつスムーズな手続きを実現することが、専門家が介在する本質的な価値であることをお客様に理解してもらいます。

相続人・家族関係のヒアリングにおけるチェックリスト

船井総研では、面談ロールプレイングをする際に、チェックリストを整備しています。
家族関係のヒアリングパートにおいては、例えば、以下のようなチェックリストを整備します。

―――――――――――――――――
☑ 被相続人・相続人の確認を図示するなど、正確におこなっているか
☑ 相続人の年齢を確認したか
☑ 相談者や主に手続きをすすめる相続人の職業を確認したか
☑ 相続人が疎遠・不仲関係性のリスクがないかヒアリングしているか
☑ 離婚・養子縁組・子供なし・代襲など家族関係に注意すべき点かないか整理したか
☑ 相続人に認知症など健康上のリスクがないかヒアリングしているか
☑ 生前の介護など寄与分用に関連する状況がないかヒアリングしているか
☑ その他、家族関係について不安なことがないか確認したか
☑ リスクが見えていたら、それを小出しに伝えているか(事例ベースが望ましい)
☑ 揉めずに円満に相続を終える大切さを伝えているか
☑ 専門家による相続人調査の重要性を伝えているか
―――――――――――――――――

チェックリストを整備する際は、先ほど述べた家族関係のヒアリングをする際のポイントと連動した項目を設定し、チェックが付く=品質の高い面談になることが重要です。

ぜひ、事務所でのロールプレイングを実施する際の参考にしてみてください。

まとめ

今回は、相続の面談における「相続人・家族関係のヒアリング」についてお伝えしました。

家族関係のヒアリングを通して「円満相続の実現を阻害するリスク」をテーブルにあげ、それをお客様に認知してもらうことが大切です。こういったプロセスを順番に踏んでゆくことが、受注率やLTV、顧客満足度を上げることにつながってゆきます。

繰り返しになりますが、面談の品質は事務所の売上や生産性を大きく左右します。
ぜひ、ベストな相続サービスをお客様に届けられるように、事務所全体の面談品質を磨き込んでいただければと思います。

次回は「相続財産のヒアリング」についてお伝えします。

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https://lp.funaisoken.co.jp/mt/form01/inquiry-S063.html

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