税理士として独立・開業をお考えの方へ

税理士の独立開業というのは、9割以上「失敗しない」と考えています。 ですが、9割以上が「成功するか」というとそうとも言い切れないのも事実です。

多くの方が、一人で食べていく分としての売上としては十分な売上があるものの、職員を複数名雇用し、売上1億円以上、従業員数10名以上の規模になるまで事務所を拡大させられるのは、開業した方の中でも10%以下といわれています。

このページを開いていただいたからには、開業初年度からスタートダッシュをかけ、その狭き門をくぐりぬけていただければと思います!

税理士事務所開業のメリット・デメリット

税理士が独立するメリット

税理士が開業するメリットは3点あります。

1点目は自分に適した働き方ができるという点です。事務所を開業することで税理士は個人事業主となり、ひとりの経営者として自身の働き方を決めることが可能になります。事務所の開業場所や勤務時間を自由に設計できるため、自らに合った労働環境を実現しやすくなります。

2点目は結果を出せば年収も上がるという点です。税理士業界に限った話ではありませんが、独立開業するメリットのひとつとして、獲得した業務が自らの収入へダイレクトに反映される点が挙げられます。新規顧客を開拓することで得られる顧問料が売上へと直結するため、年収の増加幅はより一層大きくなります。

3点目は生涯現役でいることができるという点です。開業税理士には定年退職という概念がないため、自分自身が健康である限りは現役で居続けることができます。

税理士が独立するデメリット

また、デメリットは2点あります。

まず1つ目は収入の安定性が低い点が挙げられます。独立開業によって顧客獲得が自らの収入に直結することは、事務所の業績が順調に拡大した場合にはメリットとなりますが、思うように仕事を受注できなければデメリットとなります。

2つ目は自らが望まない業務に着手する必要もある点です。開業税理士の場合には、通常の税理士業務に加えて集客のための営業活動や、バックオフィス業務も並行して行わなければなりません。独立開業を成功させるためには、事前の準備が非常に重要となるでしょう。

税理士として独立・開業するための道のり

税理士として独立開業するためには、ただ税理士試験に合格し資格を取得することを目指すだけではいけません。
独立後を見据えた上で多くのことを学んでいく姿勢が何より大切です。
独立開業までのステップを簡単にまとめると
税理士試験合格⇒会計事務所勤務で実務経験を積む⇒税理士名簿へ登録申請

となりますが、この流れと並行して「独立のための資金準備」「独立のためのノウハウを学ぶ」ということが必要です。

税理士の独立開業に必要な費用とは

・オフィスの賃料
・PC・会計税務ソフト・その他システム関連費用
・その他オフィス用品費用
・広告宣伝費用

税理士業界で独立開業する際は、上記4点の費用が主に必要となります。
開業する立地や自宅開業にするかなどでも大きく変動しますが、最低でも300万円以上の用意があるとよいでしょう。
これにプラスして、当面売上げが無くても困らない半年分の生活費も確保しておきましょう。
各費用の詳細は下記の記事でも紹介しておりますので併せてご覧ください。

▶税理士として開業する費用はどれくらい?

開業初年度からスタートダッシュを成功させる方法は非常にシンプル

開業初年度に取り組むべきは下記の3つです。

① 売上アップのルートづくり
② 採用の成功手法
③ 営業の仕組みづくり

の3つの成功パターンを作り、そのサイクルを回していくことができれば、あとはそのボリュームとサイクルの速さによって、どれだけの期間で達成できるかが決まります。

もちろん、細かい話をすれば、売上アップのルートには色々な方法がありますし、やり方によって効果は違いますが、売上アップのルートづくりとして持つべきものは「確実に集客できる方法」です。

採用の成功手法としては、やはり「何で集めるか」という募集媒体の良し悪しと、「どうやって集めるか」という方法論、そして「どうやって事務所にとって良い人を見極めていくか」というポイントを押さえることです。
開業後、はじめに当たる壁が採用になる方も多いと思います。

営業の仕組みづくりとは、経営者がやってきた売上アップのプロセスのうち、営業の部分を従業員に任せていくときに必要になることです。
ここが任せられていないと、結局営業はすべて経営者が担当していくことになり、そこにどれだけ時間を使えるかによって事務所の成長ペースが決まってくることになりますが、経営者がそのまま営業を担当してしまうと売上が大きくなるにつれて成長が鈍化していくことになってしまうことが多いです。
そのため、ある一定の段階までにはその役割の引き継ぎのために、仕組化しておくことが必要になります。
このサイクルを回していくことで、事務所は成長軌道に乗ることになります。
そして、この段階になると業務オペレーションの課題や従業員の定着といった課題も出てくるようになり、それを解決できるかが、20名、30名と事務所を大きくしていく中では解決すべき課題となっていくのです。
リスクを抱え、開業にチャレンジされた皆様の開業成功の支えとなり、税理士としても経営者としても大きく成功していただくために少しでも貢献させていただけるよう、このページには私たちが知り得るノウハウを書いています。

少しでも参考にしていただけると幸いです。

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開業税理士が成功するための流れ

開業税理士が成功するための流れは下記の3つです。

(1) 理想は1年前、少なくても6か月以上の準備期間を持つ

皆さんは開業準備にどれぐらいの時間をかけていますか?私たちがサポートしてきた先生の中で、成功する先生を見てみると6か月~1年間は開業までの準備期間としてあてている方が多いです。

もちろんただ時間を多く掛ければいいというわけではありません。
マーケットの環境も都度変わっていっていますので、あまり時間をかけすぎてしまうと、そもそも環境や時流が変わってしまい、当初のプラン通りに進まないことも起こり得ます。
6か月から1年という期間の中で、やるべきことを一つ一つこなしていき、準備を進めながらもスピーディーに開業まで進めることも成功のポイントの一つです。

(2) 開業までのプロセスとスケジュール

6か月~1年前:開業エリアの選定と事業計画・資金計画の立案
会社設立件数や開業数を元に、開業エリアの候補地を絞り込む。
開業の目的や将来的な目標を考え、事業計画に落とし込む。
また、開業までに必要な資金を計算し、用意できる自己資金と銀行から受ける融資の額を決めておく。

4か月~6か月前:具体的な開業立地の選定
開業エリアの候補地から競合調査などを行い、具体的な開業立地を決めていく。
同時に物件探しに入っていく。

3か月前:開業立地の確定と資金調達
開業候補地の中から契約物件を確定し、具体的な開業日の目安を確定する。 オフィスの内装、家具の調達など具体的な金額を出していき、必要資金の確定と融資申請のための事業計画書の作成と融資申請を進める。

2か月前:税理士会への登録、開業に合わせた営業ツールの準備
税理士会に登録申請書を提出する。
開業に合わせた営業ツール(ホームページやDM、名刺、会社案内)の作成を進め、開業と同時に営業ができるように手配を進める。
電話や事務機器、パソコン、会計ソフトなど具体的に準備すべきものの手配と導入を進めていく。

1か月前:内装工事、オフィス設備導入完了、採用準備
内装工事やオフィス家具、備品の導入を完了させオフィス開設の準備を終わらせる。
場合によっては採用の手配を進め、ハローワークへの届け出や採用媒体への掲載を進める。

1週間前:営業ツールの完成
準備していた営業ツール(ホームページやDM、名刺、会社案内)を完成させ、開業直後の営業スタートに備える。
WEB広告への登録を行う(Google、Yahoo)

開業当日:営業開始
ホームページのオープンと広告開始、DMの発送を進め、開業直後から営業を進められる体制を作る。

開業1か月以内:先輩税理士、周辺士業へのあいさつ回り
地域の先輩税理士や周辺士業事務所へのあいさつ回りを行い、関係性を構築する。開業間もない時には心強いサポートとなる。

既に開業してしまっているけれど、この準備ができていないという先生は今からでも遅くはありません!
この手順に従って、ぜひ取り組みを進めていただければと思います。

はじめての採用はどうしたらいいのか?

順調にお客様が増えてきたところで、次は業務を手伝ってくれる、または一緒に行ってくれる人手が必要になってきます。しかし、近年は特に採用が難しくなっているため、求人を出したらすぐに採用したい人の応募が来る、ということは稀です。人手不足によってせっかく獲得したお客様に迷惑がかからないように、採用活動は投資意識を持って早め早めに取り組むことをおすすめします。

(1) 採用ブランディング

採用も基本的にはマーケティングの考え方と変わりません。ここでは、「採用ブランディング」について述べていきたいと思います。
こちらの図をご覧ください。

採用活動を始める前に、「ターゲットのニーズ」「自事務所の強み」「採用競合の強」について考えておきます。項目の詳細は後述するとして、では、図の中にある番号の、どこの部分を求職者に伝えていけば良いでしょうか。正解は・・・「自事務所の強み」と「ターゲットのニーズ」が被っている、【5】の部分になります。
そして、このターゲットごとに打ち出す強みは異なります。税理士資格者ならば資格者が魅力を感じる打ち出し方、パート希望の女性が魅力を感じる打ち出し方、若手を採用したければ若手が魅力を感じる打ち出し方などを整理して、明文化していきます。

(2) 自事務所の強み

職種・雇用形態・任せたい業務内容を決め、ターゲットが定まれば、その人物が他に受けそうな企業も想像がついてきます。しかし、「自事務所の強み」となると、「開業したばかりで強みなんてない・・・」と思われるかも知れません。
 確かに、立地や給与など、ハード面大手事務所と比べると負けてしまう部分も多くありますが、開業したての事務所でも打ち出せるポイントはあります。

上記の表のように、「経営方針(成長性)」「仕事内容(魅力)」「代表・社員気質」などは、求職者への伝え方次第で十分に戦うことができます。採用における自事務所の強み弱みをしっかり把握してから、具体的な活動に入っていきましょう。

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・はじめてのスタッフ採用
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【独立・開業する税理士がまず目指すべき目標?】

開業された皆さんは、それぞれ開業後の目標をお持ちで、売上や事務所規模についての目標がおありかと思います。
最終的には100名事務所や1,000名事務所を考えている方もいらっしゃいますが、開業したらまずは10名事務所を目指していきたいところです。

(1) 税理士事務所の95%が10名未満の事務所

統計によると、税理事務所の95%が10名未満の事務所と言われています。
売上で考えると約1億円未満ということです。
実はこの10名事務所というのは一つの壁にもなっており、10名未満の時の税理士事務所の経営数値と10名を超えた数字とでは大きく異なる傾向にあります。
船井総合研究所の会計事務所経営研究会会員様からのアンケート結果によると、10名を超えない事務所というのは「定着率が低く」「生産性が低く」「利益率も低い」という傾向が表れています。
目標という意味でも一つの指標ですが、税理士事務所の経営安定としても1つの指標であると言えます。

(2) 10名事務所になるために必要なこととは

10名事務所となるために必要なことは、「売上アップの仕組みづくり」と「事務所の考えと合う人材を採用すること」の2つです。
開業から3,4名の規模までは、所長の仕事を手伝ってもえるような人をまずは雇うこととなりますが、5名を超える規模となると所長の仕事を手伝いというよりも、仕事を渡して担当を持ち、所長の代わりとなる人材を採用し、仕事を任せていく段階となります。
この段階となると、仕事に対する考え方、事務所の方針、お客様への想い、対面が共有されていないと、クレームをいただいたり、解約となったり、求める人材の質が合わずに辞めることになったりと組織安定にも課題が出てきます。
そのため、事務所の方針を理解し、考え方の合う社員を採用することが大事になります。
そして、そもそも人を増やすに当たっては、売上が上がっている状態になくてはなりません。
売上アップの仕組みを持っているのか、たまたまお客さんが増えたのか、というのは大きな違いがあります。10名を超えて30名、50名となっていくためには、狙って売上アップができる状態になくてはなりません。

(3) 最短距離で10名を目指してほしい

事務所の一つの安定指標が10名という単位です。生産性や定着率は10名を超える規模にならないと目に見えて安定しません。
全く人を増やさず、4名以下の規模で事務所を経営することももちろん一つの選択肢ですが、5名以上の規模を目指すのであれば、最短距離で10名を目指して頂きたいと思います。
そして、10名の次の壁は30名です。30名を超える際には、売上アップの仕組みのブラッシュアップと定着率の課題が再度出てきます。
これを超えるためには、各取組の精度アップがポイントとなります。

独立・開業に成功した税理士先生へのインタビュー

税理士独立・開業の成功ファイル

事務所名 Actvision税理士法人
代表者名 塩谷宣弘
創業日 2014年8月1日
所在地 大阪市淀川区西中島3-8-15 EPO SHINOSAKA704号
現在の事務所規模(売上・人数・顧問先数など)
売上:5,500万円
人数:10名(正社員3名、パート6名)
顧問先数:152

1.独立をしようと思ったきっかけ、独立する際に迷った点、不安だった点は何ですか?

 

30歳になった時、“自分が本当にしたかったことは何か”と自問自答しました。そして、“経営者から経営相談を受けられるような事務所にしたい”と思い、独立を決意しました。
独立するにあたっては、お客様が増えないことが不安でした。22歳の頃、父親の事務所で働いていましたが、新規顧客は全く増加していない現実を見ていたからです。
 ただ、大阪で開業した先生方のブログを見ると、結局何歳で独立しても苦労は変わらない、ということがわかりました。それであれば独立するのは早いほうがいいと思い、独立を決めました。
実際、独立しても半年程度はお客様が増加せず、困っていました。半年経って船井総研と出会い、早めに相談しておこうと思いました。

2.独立準備はどのようなことを行いましたか?

 

事務所としてどのような方向性で進んでいくか、ということについて2ヶ月間考えました。当時は“少数精鋭、高付加価値型事務所でいこう”と思っていました。 また、とにかくたくさん本を読んでいました。この当時はまっていたのが「選ばれるプロフェッショナル」です。副題の「CLIENTS for LIFE」に引かれて3回は読みました。以前勤めていた会社の代表にも勧められていたので、本屋で見つけて購入しました。

3.独立準備でやっておいてよかったこと、やらなければよかったことは何ですか?

 

事務所の方向性を考えておいて良かったと思います。一方で、営業の仕方をもっと考えておいたほうが良かったと思います。単に交流会に行っても紙(名詞)の無駄遣いでした。創業時はコンセプト(売り商品)がないので「何でもできます」と言いがちですが、しっかりコンセプトメイクをしておいたほうが良いと思います。

4.開業初年度はどのような年でしたか?

 

暗黒の時代でした…。お客様はまったく増えず、嫁さんに大丈夫かと心配されるほどでした。
開業から約1年後、2015年の夏ごろ、最初のお客様を社労士さんとの助成金活用セミナーで獲得しました。当時は営業力もなかったので、単価もとても安かったです。その後、本格的にマーケティングを開始しました。

5.開業初年度にやっておいてよかったこと、やらなければよかったことは何ですか?

 

やっておいて良かったことは、商品作り、コンセプトメイクです。どのような商品をどのような値段で売るかをしっかり決めることが重要だと思います。また、勉強会などに参加して、伸びている先生がいることを認識することが大切です。
また、どんな事務所にしたいかをしっかり考えておいたほうが良いと思います。中堅大手を目指すのか、小規模事務所を目指すのか。小規模事務所の場合は社員が幸せかどうかをしっかり考えるべきです。ずっと小規模事務所の場合、自分だけ儲かって、社員は不幸になってしまうのではないかと私は思いました。

6.採用・職員のマネジメントについて思うことは何ですか?

初めての採用は、仕事が溢れ過ぎて、精神的にいっぱいいっぱいになってしまった際に採用することを決めました。
一人では限界があります。所長としてやらなければいけないことに集中するためには、職員が必要です。一人でやると質も下がるので、お客様にとっても人を採用することが必要だと思います。
マネジメント面では、「朝礼の声が小さい」「言ったことをちゃんとしてくれない」など職員の些細なことが気になります。ただ、私がコンサルタントに社員の愚痴を言っていたら、「それは会社がそうさせたんです。成長しないのは、会社がそういう体制だからです。」と言われ、確かにそうだなと思ってからは考え方を変えました。従業員の声を聞こうと思って、個別面談を行うようになりました。「人のせいではない」「自分がそういう会社をつくった」という考え方が重要です。
今は、職員と飲みに行くことができると達成感があります。

7.独立してよかったことは何ですか?

 

仕事が楽しいことです。少なからず現場の近くにいて、独立して「良かったな」と思えるタイミングが多いです。「お客様と飲みに行って、『塩谷さんでよかったです』と言われること」が目標だったのですが、昨年達成できてしまいました。
1つ1つのことでも、独立する前と後では達成感が違います。前の会社にいたときと違うところは「当事者意識」です。実際に自分でやってみて、経営の辛さを知りました。働いていたら一生味わうこともないですし、独立して、人を雇うこと、マネジメントのことも一通り経験できたので、社長の仰ることがよくわかるようになりました。

8.今後の展望について教えてください

 

事務所成長のために意識していることは、「良いと思ったことはやる、無理そうだと思ってもやる」ということです。情報収集をした上で色々と工夫し、どんどん変えていってみるようにしています。
今は事務所規模を大きくし、独立当時やりたかった財務支援コンサル、実行支援コンサルを、事業単体で損益が出る事業体として行うことを目標としています。
お客様がやりたいことをしっかりやったら儲かる、お客様がやりたいことをしっかりやりきるための実行支援コンサルを行ったらお客様は儲かる、そう思っています。ですので、今後はそのことを実証したいと思っています。

私たちは税理士・公認会計士の方が独立・開業が最短距離で成功するためのお手伝いをしています。

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