今こそ組織の戦略的地固めを!今取り組むべき3つのこと

こんにちは。船井総合研究所の稲冨です。

コロナウィルスの影響において、会計事務所の経営者より、現時点では業種特性として
会計事務所経営にダイレクトな影響はないということをお聞きしますが、おそらくこれから
その余波が来るのではないかと思います。

現時点ではコロナウィルスの影響により、
積極的な「攻め」のマーケティング施策を行うことが難しい状況です。
そのような状況だからこそ、これまで取り組めなかった「守り」に対して時間を投下することが
必要ではないでしょうか。
そのため、今回のコラムでは今一度組織を見直すきっかけとして
「組織の戦略的地固めのための今取り組むべき3つのこと」をお伝えします。

目次

1.組織の“働き方における役割”を明確にするための設計を行う
2.直接業務と間接業務を整理・委譲は総務業務から始める
3.未経験者が1年で戦力化するための「採用×人材育成」の仕組み作りを行う

はじめに、組織作りは地味でなかなか成果が見えてこないものですが、
これまでの成功事例事務所においては「3年後」に成果に表れています。
中期的視野を持ち「今」だからこそできる「戦略的地固め」をしていきましょう。

1. 組織の“働き方における役割”を明確にするための設計を行う

Q.正社員・時短社員・パート社員のそれぞれの役割は何ですか??

まず組織作りを行い際に、組織の全体設計として、それぞれの働き方において
どのような役割を担うのか?という点において設計することをオススメしています。

理由として、これまで多くの会計事務所が組織化を進めていく上で、組織内不和の原因となったことが
「正社員と時短社員」「正社員とパート社員」「時短社員とパート社員」の違いは何か?という点です。

優秀なパート社員が正社員と同程度の業務を行っている場合に、
なぜ時給が違うのか?そもそもなぜ時給なのか?賞与は支給されるのか?なぜここまでの業務を行っていて
待遇が違うのか?などの不満から組織内不和を招く可能性に繋がります。

そのような事態にならないように事前予防として、最低限下記においてそれぞれの働き方においての
役割が何なのか?何が違うのか?を決めることを行っています。

 ・正社員の働き方×役割
 ・時短社員の働き方×役割
 ・パート社員の働き方×役割
がは何なのか?具体的には、

を明文化し、全社員に対して説明機会を持つことが必要です。
これから大きな外部環境の変化により、組織内不和を起こさないためにも、まずは働き方における
役割設計を始めることをオススメします。

2.直接業務と間接業務を整理・委譲は総務業務から始める

Q.総務業務の一覧を作成していますか?誰が何の業務を行っているのかを把握していますか?

前回のコラムで取り上げましたが、次に取り組んでいただきたいことは、
現状の直接業務と間接業務の整理そして業務委譲です。
これから生産性の向上がより求められてきます。
そのためには分母である「総労働時間」を削減することがより重要になってきます。

多くの会計事務所の生産性が悪くなる要因が、業務分担ができておらず、直接部門の担当者が
多くの総務業務を行っているケースです。
そのためにも、まずは総務業務の委譲から進めることが必要です。
総務業務の委譲でまず取り組むべきこととしては、
所内において現時点でどのような総務業務があるのか?の洗い出しです。
代表が行っている総務業務、直接部門の担当者が行っている総務業務を間接部門である総務部や管理部に
業務委譲します。

総務業務の委譲を行うことで、直接部門の担当者が自身の業務に集中できる体制を作ることができ
「何でもやる」ことから解放され、総労働時間の減少に繋がります。

実際の総務業務の委譲の進め方としては下記のように

現状の業務の洗い出しを行い、誰が・どのように・どれくらいの時間が投下しているのか?を分析した上で、
一次受渡(一ヶ月以内)・二次受渡(三ヶ月以内)最終受渡(六ヶ月以内)の委譲計画を策定します。

また、事務所規模によっては、会計入力や給与計算を代表が行わなければならないケースもありますが、
10名以上の規模であれば間接部門に委譲していくことをオススメしています。

上記のように総務業務の洗い出しを行い、6ヶ月以内の委譲計画を策定することから始めることを
オススメします。

3.未経験者が1年で戦力化するための「採用×人材育成」の仕組み作りを行う

Q.現在の組織の人員数は適正ですか?人材育成の仕組みは整っていますか?

おそらく当コラムをご覧いただいてる会計事務所は、これまで順調に業績アップをされていることと思います。
ただ、そういった会計事務所こそ「人材が不足している」という課題を非常によくお聞きします。
先行き不透明な面ですが、現状において意図せずして、人員が不足し、残業時間が増加してしまい、
一人当たり生産性が「1,000万円~1,200万円以上」になってしまい、社員が疲弊している会計事務所は
多いのではないのでしょうか?

まずはこの機会に、適正な人員数を検討し、単年度ベースにおいての採用計画を策定することが必要です。
将来を見据えて、組織の疲弊感を少しずつ軽減していくためにも、まずは適正な人員数を算出し、
適正な人員数+αをこれから採用し、即「攻め」に転じられるように準備を行うことが必要です。

適正な人員数のための採用を行った後に取り組んでいただきたいことは、優先順位が低くなりがちな
「人材育成の仕組み作り」です。

以前 下記のコラムにも記載しておりますので、ぜひご覧ください。
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社員の戦力化について考える
https://samurai271.funaisoken.co.jp/blog/zeirishi_0207.html
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即時取り組めることは、事務所が求める「到達目標」を設定することです。

新入社員の場合、右も左も分からない状態のため、事務所としての「1年後の目標」「3ヶ月ごと」の
マイルストーンとしての目標を設定することで、何を目標に取り組めばいいのか?が明確になり、
戦力化が早まります。

具体的な事例としては、第2新卒の中途未経験者においては、1年後の到達目標として
5件~10件程度の担当を持つことは必達目標としています。
まずは人材育成の仕組み作りにおいては、到達目標の設定から始めることをオススメします。

いかがでしたでしょうか?

こういった積極的な「攻め」のマーケティング施策を行うことが難しい状況のときこそ、
これまで取り組めなかった「守り」に時間を投下することが必要ではないでしょうか。

まずは「組織の戦略的地固め」のための3つのことに取り組み、これからの外部環境に負けない
組織作りを行うことをオススメします。

【執筆者】稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)
幼い頃から土木卸業を経営する祖父の姿を見て育つ。
大学卒業後、大手システムコンサルティング会社に入社し、会計事務所向けシステムコンサルティングを経験。在職中の業績達成率は100%を記録、優秀実績賞を3度受賞とトップクラスの成績を残す。その後、会計事務所における採用・定着といったマネジメントの課題を解決する力を付けるため、船井総合研究所に入社。船井総研入社後は、TKC時代より一貫して従事してきた税理士業界の経験を活かし、 従業員数5名規模の事務所から100名を超える事務所における評価制度構築・運用・定着を支援した実績を持つ。
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