会計事務所に人事評価制度が必要になる時

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税理士・会計士業界 2024年時流予測レポート ~今後の見通し・業界動向・トレンド~

①売上は1億円を超えているが、管理職がいないため、組織化ができておらず、
代表自ら担当を持ち、実務を行っており、日々事務所にいない
②管理職は任命したものの、管理職としての仕事ができておらず、管理職が育成できていない
③採用後なかなか職員が育たず、1年経過しても担当を持つことができない職員がいる

 
このような悩みをお持ちの会計事務所の先生方は、いらっしゃいますでしょうか?
これまで100事務所以上の会計事務所の先生方とお会いしてきましたが、90%以上の方々が上記の悩みをお持ちでした。

悩みを抱えている会計事務所に共通していることは、売上は1億円を超えたが、職員の退職もしくは職員の育成がうまくできずに、1.2億円~1.5億円付近で毎期微減微増を繰り返しているケースです。その原因は主に組織化(文鎮型組織→ピラミッド型組織)ができていないことにあります。

組織化ができていないことにより、代表自ら担当を持ち実務を行っているケースが非常に多く、事務所内部に目が向かないため、管理職の育成や既存職員・新入職員の育成ができずにいずれ退職に繋がるという流れです。そして人が定着しないことで、当然事務所の拡大ができずに売上も微減微増を繰り返しているという状況です。

実は、そういった状況を解決するための最も効果的なツールが”人事評価制度”です。

なぜ人事評価制度が解決するための最も効果的なツールなのでしょうか・・・? 
今回はそのポイントを3つに分けてお伝えいたします。

【組織化の第一歩!人事評価制度の構築で 「mustな状況」を作り出す】

人事評価制度は ”中期ビジョン” と “組織” がなければ構築ができません。
そこで、人事評価制度の構築を意思決定すると、
副次的な効果として、「作らなければならない」つまり「mustな状況」を作り出すことができます。
そのため、強制的に 「中期ビジョンの策定→組織図の作成→管理職の任命→部下の配置」 を考える時間を作ることができ、組織作りの第一歩が始まります。
実際、税務申告のように期限がある緊急性が高い業務と比べて、組織化はそこまで緊急性が高くないため、優先順位が下がりがちです。
しかし、それを先延ばしにしてしまうと、事務所の成長はそこで止まり、微減微増を繰り返す事務所になってしまいます。
今後組織化を行っていくためにも、人事評価制度の構築に取り掛かり「mustな状況」を作り出すことが必要なのではないでしょうか。

【「人事評価制度の運用の仕組み」が管理職を育成する仕組みそのものである】

人事評価制度がなぜ管理職の育成の仕組みなのか?
その答えは、人事評価制度の仕組みに着目する必要があります。

人事評価制度を構築すると、ピラミッド型組織になり、上司と部下の関係が作られます。ただ実際はそれだけでは管理職の育成には繋がりません。
そこで人事評価制度の仕組みが育成のツールとして活躍します。
人事評価制度を導入した際の管理職の業務としては

・【日次】部下の行動事実を毎日観察し記録をする。
・【月次】目標の進捗確認を会議で報告する
・【四半期】目標の進捗報告+部下との個別面談を実施する
・【半期】部下とのフィードバック面談を行い、評価結果を伝え、部下の目標設定を行う
・【通期】賞与・昇給・昇格などの評価者会議を代表と行う

が大きく挙げられます。
文章で書くと当たり前のことですが、仕組みがない事務所では、管理職の業務ができていないことが非常に多いです。そこで、人事評価制度の仕組みは上記の業務を行うようになるため、自然と管理職の業務ができるようになっていきます。

実際に人事評価制度を構築・運用をしている会計事務所は、管理職が部下の行動を観察することで、アドバイスできることが増加し、マネジメントするようになります。そして、評価自体が処遇へ反映されることもあり、売上・利益などの意識も非常に高まっています。
結果として、事務所の業績は上がり、部下とのコミュニケーションも取っているため、離職率も下がっていっています。
実際に2年人事評価制度を運用している会計事務所では、このような効果が表れています。
これまで売上は微減微増を繰り返していましたが、今期は半期の時点で15%以上の売上アップが実現できており、離職者も減少しました。(年間で離職者0名)

【「人材育成のロードマップ」を見える化し、人材育成を加速させる】

最後は、人材育成の視点です。
人事評価制度では、

・等級制度で経験年数ごとに求める成果・能力に求める要件を作成する
・評価制度で事務所が求める人材像を評価基準に落とし込み評価シートを作成する
・賃金・処遇制度でキャリアパスを見える化し、職員自身に将来をイメージさせる

を行うため、何を求められており、何を行えばいいのかというロードマップを作ることができます。そのため、職員自身も目標設定を行うことができるため、半年・1年で目標との差異を確認することができ、人材育成も加速していきます。

いかがでしたでしょうか。
人事評価制度は、組織化・人材定着・管理職育成・人材育成に最も効果的なツールです。
これから事務所の規模拡大を目指しており、1億→3億→5億→10億とするビジョンをお持ちの会計事務所の先生は、ぜひ一度人事評価制度の構築・運用を検討することをおすすめします。

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【執筆者】稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)
幼い頃から土木卸業を経営する祖父の姿を見て育つ。
大学卒業後、大手システムコンサルティング会社に入社し、会計事務所向けシステムコンサルティングを経験。在職中の業績達成率は100%を記録、優秀実績賞を3度受賞とトップクラスの成績を残す。その後、会計事務所における採用・定着といったマネジメントの課題を解決する力を付けるため、船井総合研究所に入社。船井総研入社後は、TKC時代より一貫して従事してきた税理士業界の経験を活かし、 従業員数5名規模の事務所から100名を超える事務所における評価制度構築・運用・定着を支援した実績を持つ。
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