2016年以降の会計事務所業界について

 

昨年から税理士業務の将来についての話をする機会が増えてきました。 というのも、オックスフォード大学の教授の出した「10年後になくなる仕事」の上位に税理士業務が入っていたり、 それを裏付けるかのように進むクラウド会計の普及に伴い、それが現実味を帯びてきているように感じられるということもあるかもしれません。 確かに、これまで発展してきたような税理士業務自体は減少していくものと考えられますが、今すぐ税理士がなくなるというわけではないと考えます。 では、どう変わるのか?という点になりますが、 2016年以降、税理士業界における重要なキーワードに「Value」というものがあると考えています。

 

Valueとは価値という意味ですが、これまで以上に税理士としての「付加価値」が重要になるということです。

 

税理士業務の中心でもある、「税務申告代理」やそのために必要な「記帳代行」といった業務はどんどんITが進み、 知識がなくてもできてしまう業務になっていくのは間違いありません。 そのなかで、その流れに反発し、税理士としての独占業務の範囲を守っていったとしても、市場の縮小は避けられず、 次第に生き残っていくのが難しくなることに変わりはありません。 そうした時流を止めることはできませんので、上手にその流れを掴み、活用していくしかないと考えます。

 

そして、新たに付加価値を高められる業務に注力し、自分たちが提供できる「Value」を明確にしていくことが 今後、税理士業界の中で生き残り、発展していくためのキーワードとなります。

 

では、具体的にどんなテーマが付加価値につながるのか? 少なくても2016年時点で取り組むべきテーマは以下の3つだと考えています。

 

①経理アウトソーシング ②コンサルティング ③資産税

 

①経理アウトソーシング これは単純作業である記帳代行にとどまらず、請求書発行や振り込みなど経理部門全体のアウトソーシングを請け負うサービスです。 税理士業界はもちろんのこと、今後、人手不足・採用難という課題が全ての業界の共通課題として強く出てきます。 その中で、単純作業の代行ではなく、不正をせず、一定以上の経理の能力を持ち、信頼できる経理担当者の採用がどの企業でも難しくなり、不足します。 更には経営において重要な資金繰りや融資の実行、金融機関との関係づくりという面を具体的にサポートできる立場となれることで、 単なるアウトソーシングにとどまらない役割を果たせるのが経理アウトソーシングというテーマです。

 

②コンサルティング これはこれまでも税理士業界で言われてきた、財務コンサルティングや資金調達(融資・補助金)のコンサルティングを通じて、 クライアントのサポートをしていくものです。 数字はクラウドシステムなどで自動的に上がってくるようになりますが、それを経営にどう活かすか?という点が今までより 更に重要となってきます。 これまでは単価アップとして、オプションのテーマとして考えられることも多かったのですが、今後はこのコンサルティングサービス 税理士の主な業務とすることが価値となります。

 

③相続 これは企業に対して事業承継をスムーズに行うためのサポートや、経営者個人の資産形成をサポートするなど、単なる相続税申告という 部分にとどまらない相続サポートを意味しています。 相続分野だけを主分野とすることもできますが、売上構造上、一部門として専門性を高めていくというイメージです。 税制改正後、相続税申告の代行としての競合は増加していく傾向にありますので、単純代行との差別化がテーマとなります。

 

上記3つのテーマが、今後税理士の価値の中心となる業務となります。 既に取り組まれている方はそれを更に進化・発展させ、これからどの分野とするかを決める段階の方は、ぜひ今年中に 何を自分たちの「Value」としていくのかを決め、できるだけ早く取り組み、既存の税理士業務からシフトしていってください。

 

船井総研でもこれらのテーマを扱った情報提供は定期的に行ってまいりますので、ぜひお越しください。

 

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