BtoB領域で抑えるべきユニットエコノミクスという考え方

お世話になっております。
船井総合研究所の能登谷と申します。

本日は告知ではなく、BtoBマーケティングで大事な考え方という点で少し皆様に情報を提供させていただければと思っております。

自社サービスを改めて見直す

ここ最近、LTVという単語が広く活用されていますが、皆様はご存じでしょうか?
LTVとは『Life Time Value』の略で、日本語では顧客生涯価値と訳されます。
ある顧客がサービスや商品に対し、もたらす利益の総額を算出した数値になります。
我々の業界で言うと、税務顧問で契約に至ったお客様が生涯ではどれだけの利益を生んでくれるの?と言い換えた方が分かりやすいかもしれませんね。

LTVの計算方法としては、
LTV=月額の顧問料×契約期間―(新規顧客獲得費用+顧客維持費用)
としてあらわすことができます。

さらにこれをグルーピングすることで、
【コスト面】=低ければ低いほど良い
・新規顧客獲得費用
・顧客維持費用

【収益面】=高ければ高いほど良い
・顧問料
・契約期間

という風に分けることができます。
見ていただけるとわかるように、収益面に関してはこちらから積極的にコントロールすることは難しい変数だと思います。
しいて挙げるとすれば、一番コントロールしやすい変数は「新規顧客獲得費用」なのではないでしょうか?
ただし、皆様の中には「これまで顧客獲得にコストを払ったことが無い」という方から、「月間○万円支払っているが採算が合わないと感じている」という方もいるかと思います。
そうした時に有効的になるのが、ここからご紹介する「ユニットエコノミクス」という考え方になります。

ユニットエコノミクスとは

ユニットエコノミクスとは、顧客・製品・店舗などのユニット単位で事業の経済性を測定する指標です。
もっと噛み砕いてお伝えすると、そのサービスに、もっとコストを投下してでも顧客数を増やすべきなのか、それとも収益の改善が必要なのかといった経済判断をするための指標です。

ユニットエコノミクスの計算式は、下記の通りです。

ユニットエコノミクス = LTV(顧客生涯価値)÷ CAC(顧客獲得単価)

例をもってお伝えすると、
月額顧問料1万円で10年間継続する企業があったとします。
これでLTVは120万円。
顧客獲得単価が30万円だったとしましょう。
そうすると、ユニットエコノミクスは4となります。

一般的にはこの指標が3に近いほど健全であり、
3を超えるほどに、もっと投資をした方が良いのに成長機会を逃していると判断でき、
3を下回るほどに、もっと収益体制を改善した方がよいと判断できるとされています。

フィットネスクラブで悪い例を挙げるとすれば、
月額利用料金8,000円で1年間のみ、顧客獲得単価は3万円だった場合
ユニットエコノミクスは2.67となり、1年以上活用してもらえるようにインストラクターの接触回数を高めたり、月額料金を値上げしてでもマシンの拡充を図ったり、内部の収益体制の見直しを図るべき。ということが分かります。

さて、長々とお伝えさせていただきましたが、貴事務所のサービス一つ一つを思い返してみてください。
メインで展開していなかったサービスでもここ数年で受注が多かったものはありませんか?(拡大できるチャンスを逃していませんか?)
また、なかなか受注につながらないサービスにいつまでも広告をかけっぱなしにしていませんか?

事務所経営として難しい点は、社内の業務効率を同時に考えなければいけないために、受注を増やすためのこの考え方が二の次になってしまうケースが多いということです。

繁忙時期もあけ、改めて事務所の経営に目を向ける時間がある今だからこそ、2022~2023年にかけては何に投資をしようか、どのように拡大しようかという点にフォーカスして情報収集をしていただければと思います。

本日の内容が皆様の事務所経営の一助になれば幸いです。

業績アップ