第一回事業再構築補助金の公募を終えて浮き彫りになった課題とは!?

皆様、いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総研の渡邊でございます。

新型コロナウイルス感染症の影響により、6月以降も一部地域では緊急事態宣言が適用され、人々の行動は制限されている状況です。
また、引き続き注目度の高い事業再構築補助金については、5月20日より2次公募が開始されたこともあり、事業者の申請サポートを実施される事務所は6月以降も繁忙が続くことかと思います。

事業再構築補助金の締切延長があったものの1次公募が終了し、実際に申請された方は申請事業者との間で、準備を進める上で課題が浮き彫りになったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、明らかになった課題に対し、次回以降の公募締切に向け、工夫をされている事務所もいらっしゃるかと思います。

弊社と関わらせていただいている会計事務所の話を聞くと、いくつか共通の課題が浮き彫りになりました。
その一つとして、申請資料を作成していく上で必ず踏むフローである「事前ヒアリング」です。
ヒアリングでは、申請資料を作り上げていく上で必要となってくる具体的な企業概要から補助事業、申請経費等の各項目内容を聞いていきます。
これらのヒアリングを実施する際、「そもそも何をヒアリングすべきかわからなかった」といった声や、「ヒアリングしたが、意図した回答が返ってこなかった」といった声が一定数ある通り、申請事業者とのコミュニケーション自体に課題を感じている事務所は多くいらっしゃります。

これらのヒアリングに関する課題は、申請準備期間が限られている中では時間的な大きな障壁となり得ます。
また、申請準備フローで想定以上の時間を要することで、申請締切に間に合わず、次回公募に繰り越しといった結果も散見されます。

そこで、限られた準備期間の中で効率的且つ適切な事前ヒアリングを実施するためのおすすめの方法をお伝えします。

<①下書きフォーマット(word)を活用する>

下書きフォーマットとは、様式自由であるために記載内容に迷われている申請事業者が、スムーズに内容記載ができるよう、予め各項目や項目ごとに設けられた質問に加え、より具体的に質問の意図が伝わりやすい質問内容を追記してあるフォーマットのことを指します。
申請事業者にヒアリングを実施する際、事務所側の意図した回答とズレた回答をされたり、公式HPに掲載されている参考例に引っ張られた回答内容になることを防ぐために、フォーマット内の項目ごとに具体的にどのような内容を書いて欲しいかといった説明(分かりやすく色を変えておく)を事務所側で追記しておきます。
こちらを実施することで、申請事業者がフォーマットへの記載が楽になるだけでなく、所謂金太郎飴のような内容にならずに済みます。

事前に項目ごとに申請事業者にどのような内容を記載して欲しいかのイメージを持った上で、その内容を引き出すことが可能な詳細且つ具体的な説明を追記しておくことがポイントとなります。

<②事前ヒアリングシート(Excel)を活用する>

事前ヒアリングシートとは、いきなりword等のフォーマットにストーリー立てをした上で内容記載をしていくことに苦戦される申請事業者が、着実に申請資料作成の上で必要な情報をアウトプットできるよう、大項目と詳細な小項目ごとに質問項目が分かれており、箇条書きベースで記載を進めることができる形式のシートのことを指します。
申請事業者が大項目、詳細な小項目ごとにわけられた事前ヒアリングシートを活用することで、着実に必要情報の記載をすることができることに加え、事務所側としては、記載後の各項目の入れ替え調整が可能になることで、ストーリー立てを行った上でどのような文章にまとめていくかの共有が容易になります。
こちらを実施することで、スムーズに申請資料の作成が可能になるだけでなく、整合性のとれた自然でストーリー性のある文章作成をすることが可能になります。

ヒアリングシート内の具体的な参考大項目は下記通りとなります。
1.企業概要補助事業の具体的取組内容
2.再構築指針との適合性
3.競合分析と差別化方法
4.将来の展望
5.実施体制・実施スケジュール
6.経費明細

また、これらの基本的な大項目ごとに、より詳細な質問項目が羅列している内容となります。

事務所側で事前ヒアリングシート自体を作成する際は、申請事業者がスムーズに必要情報のアウトプットのしやすい具体レベルの項目を設けることや、記載後、事務所側でストーリー立てをする際に最低限どのような項目が必要かを意識した上でシート作成をすることがポイントとなります。

以上、第一回公募で多くの事務所が共通で抱える課題に対するおすすめの解決策として、「①下書きフォーマット(Word)の活用」「②事前ヒアリングシート(Excel)の活用」の2つの方法を紹介しましたが、当然として「これを使うべき!」といった正解はなく、事務所でやりやすい方法で取り組んでいくことが一番ですので、是非、参考までにご作成いただければと思います。

最後に、「事前ヒアリングシート(Excel)」についてですが、弊社でも関係先事務所のご協力のもと、事業再構築補助金申請サポート用の「事前ヒアリングシート(Excel)」を作成させていただきました。

こちらは、事業再構築補助金の申請をはじめとした、公的制度(融資・補助金等)充実の今、公的制度を積極的に支援することで、「提案できる事務所」・「資金に強い事務所」になっていただき、事務所の業績向上により一層寄与していくことを目的とした公的制度支援研究会の入会特典の一部としてご用意しています。

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【執筆者:渡邊 誠】

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