<連載コラム①【<組織化>社員数30名規模までに実施すべきこと】>

組織化を進める秘訣!組織のバランス感と事務所の「在り方」を追及する

こんにちは!船井総合研究所の稲冨です。

これまでのコラムで組織化のSTEP、自社の内部環境分析のポイントなどをお伝えしてきました。
これからは連載コラムとし【<組織化>30名規模までに実施すべきこと】を順を追ってお伝えしてまいります。
組織化について詳しく知りたい方は下記コラムをご覧ください。
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事務所の “成長の踊り場” を作らない!「組織化のステップ」を踏み120%成長を実現する方法とは?
https://samurai271.funaisoken.co.jp/blog/shigyo_190315.html
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これまで50社以上の30名規模を突破している会計事務所の組織を分析することで、30名規模までに実施すべき要素を洗い出すことができました。組織化を進めていく上で重要なことは大きく分けて2つです。

1.あたりまえのことをあたりまえにする【人として】

コラムをご覧になっている皆さまからすると当然のことかもしれません。ただ、10~20名規模前後で成長が止まっている会計事務所と30名規模を突破している会計事務所の違いをルール化するとこのような結果となりました。
コンサルティングの現場では、会計事務所の経営者・役員・管理職・社員の方々とお話をする機会が多くあります。その際に肌で感じることは30名規模を突破されている会計事務所は「人として」の部分の教育が行き届いているということです。来社時の挨拶一つとってもそうですが、メールやチャットツールにおいてのメッセージの書き方、感謝の気持ち「ありがとう」をいただける、など人としてあたりまえのことをあたりまえにするということが徹底されています。結果として、ビジネス面においても良い関係性を築くことができ、次のビジネスに繋がっていきます。しかし、反対にこの部分ができていない事務所は、ふと気づけば優秀な社員そして優良な顧客・アライアンス先も離れていくきっかけになり、事務所の成長が止まります。そして、ビジネスにおいてこの部分は他社(他者)から指摘しづらいことです。そのため自社で改善するしかありません。
自社があたりまえのことをあたりまえにできているか? ぜひ振り返ることをオススメします。

2.【全社戦略】【事業戦略】【組織人事戦略】【オペレーション】のバランス感は数値で語る

多くの会計事務所が新規顧客獲得に力を入れられており、新規拡大には非常に積極的です。しかし、15名~20名規模で新規拡大と組織全体のバランス感が崩れた場合には、成長の踊り場を迎えます。その要因の多くが「離職者の増加」で業務が回せなくなることです。しかし、その本質的な要因は「組織化が進んでいないこと」が要因として挙げられます。

組織化を進めていく上で必要なことは「全社戦略・事業戦略・組織人事戦略・オペレーション」とのバランス感です。具体的に挙げられることは、

・事務所の在り方の浸透度
・新規顧客獲得のスピード
・人員採用(計画採用)
・新入社員の戦力化までのスピード
・オペレーション(進捗管理・工程管理・時間管理・品質管理)

のバランス感です。
このバランス感で重要のポイント「数値で語る」ことです。そのためには「数値の基準作り」が重要です。一例として経営計画を策定する際に、新規顧客獲得のためのマーケティング戦略は綿密に考えるが、採用・定着・育成を加味した人員計画を「なんとなく」決めてしまっているというケースです。具体的には、離職率を加味していない、新入社員の戦力化に要する期間を加味していないことが挙げられます。離職率は最低10%程度を見込む必要があり、新入社員が戦力化するには最低1年を要します。そして仮に1年後に顧問先担当ができるのは10件程度です。このような要素を加味した上で人員計画を策定することが必要です。 事業戦略×マーケティング戦略が確立できている事務所こそ、組織が疲弊しないようにマネジメントにおける「数値の基準作り」と「数値で語る」仕組みを作る必要があるのではないでしょうか。

3.【全社戦略】事務所としての「在り方」を追及する

「事務所は何のために存在するのか?」
経営者の想いを明文化し、事務所としての「在り方」を追及することが重要です。その理由は、経営者と同じような想いを持った社員が「2割程度」いないと組織は成長できないという結論が出たためです。「仕組み」で30名規模を突破した事例はあります。ただ、そこから採用・・・離職・・・採用・・・離職を繰り返し、3年程度成長が止まっていました。優秀な社員の方が離職する際に、本音をお聞きする機会があり、ヒアリングをした結果として

・事務所が「何を目指している」のか分からない
・なぜ「拡大」しているのか分からない
・売上を上げることが「目的」なのか? その先に何があるのかが分からない

などの理由が離職要因でした。「何のために仕事をしているのか?」といった部分を優秀な人材ほど重要視します。そのためには、事務所がどこを目指しているのか?何のために存在するのか?ということを明確にし、経営者としての想いと覚悟を伝えることが必要です。経営者の想いと覚悟を明確するためにも実行すべきアクションは、

です。当然、在り方を明確にするだけでは浸透はしないため、経営理念・ありたい姿・価値観・企業文化をSTEPで浸透のためのアクションを進めていくが重要です。

まずは今一度、事務所の根本的な土台の「在り方」を見つめ直すことをオススメします。

いかがでしたでしょうか?
今回のコラムでは、あえて「あたりまえのこと」を取り上げました。その理由は、30名を突破している成長事務所の共通項だったためです。30名を突破できない事務所は、今回お伝えしたことのいずれかに課題がある事務所が多いです。当コラムをお読みいただいた皆さまに置かれましては、ぜひ一度立ち止まり、自社を振り返っていただくことをオススメします。

【執筆者】稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)
幼い頃から土木卸業を経営する祖父の姿を見て育つ。
大学卒業後、大手システムコンサルティング会社に入社し、会計事務所向けシステムコンサルティングを経験。在職中の業績達成率は100%を記録、優秀実績賞を3度受賞とトップクラスの成績を残す。その後、会計事務所における採用・定着といったマネジメントの課題を解決する力を付けるため、船井総合研究所に入社。船井総研入社後は、TKC時代より一貫して従事してきた税理士業界の経験を活かし、 従業員数5名規模の事務所から100名を超える事務所における評価制度構築・運用・定着を支援した実績を持つ。
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