「企業のテレワーク化」から見える会計事務所の対応

平素より弊社のメルマガを購読いただき、誠にありがとうございます。
士業支援部の能登谷です。

本日は、日本国内でより一層加速していくであろう「企業のテレワーク化」について触れていきたいと思います。
こちらの内容をお読みいただければ、

・自社でのテレワークの進め方が分かる
・テレワーク推進をサポートでき、ビジネスチャンスに繋げるヒントが分かる

という点をゴールにお伝えしていければと思いますので、ぜひ最後までお読みください。

会計事務所のテレワーク化というと、「税理士法第40条第3項」に記載のある、2か所以上の事務所を設けることを禁止する、という内容がこれに抵触するのかという点が最初の争点になりそうですが、東京税理士総会では“所長税理士が管理・監督できる状態が保持できれば”問題ないとの見解を表しています。
ただし、日本税理士会連合会の公表では、就業場所という点が大きなポイントであり、
サテライトオフィス等を利用する「施設利用型勤務」については、「2ヶ所事務所」にあたるとして、問題視している。
それ以外の、自宅勤務や出張先ホテル等で作業する「モバイルワーク」については、現行法上問題ない、とした見解が示されている。
本記事は、日本税理士会連合会の公表を踏まえ、条件を満たせばテレワークが税理士法違反にはならないということを前提に、
条件を満たすため、またテレワークのスムーズな導入&効果的な実施のために、事前に対策すべきことや実施の流れについてお伝えいたします。

まずは、内容に入る前に、前提としてここで活用する言葉の定義を整理いたします。
「テレワーク」とは、ICTを活用し、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことを指します。

<就業場所による分類>
① 自宅で仕事を行う在宅勤務
② 出張時の移動中などに公共交通機関内やカフェ等で仕事を行うモバイル勤務
③ 共同のワークスペースなどを利用して仕事を行うサテライトオフィス勤務

<就労形態による分類>
企業等に雇用されている雇用型テレワーク
個人事業主のような形態の自営型テレワーク
様々な分類がありますが、上記の分類で内容の説明に入っていきたいと思います。

 

データで見るテレワーク導入の状況

公開データより弊社の分析及びその考察をお伝えいたします。

雇用型テレワークの普及状況

出典:『テレワークを巡る現状について』P.3-厚生労働省

 

テレワークの実施率①【企業調査】

出典:『テレワークを巡る現状について』P.4-厚生労働省

 

令和元年(新型コロナウィルス流行前)段階でも、導入企業、及び導入検討企業は増加傾向にありましたが、緊急事態発令後の状況を比較すると、導入企業は約2.5倍に増加しており、多くの企業で「テレワーク(リモートワーク)」の対策が行われています。(政府目標は平成24年の3倍)
また、規模別でみると、従業員数が多い企業/資本金が高い企業が実施率は高く、規模の小さい企業はまだ導入の伸びしろがあると言えます。

感染症対策の他に、テレワーク導入によって見えた効果としては、下記のようなことが挙げられる、

 

テレワークで感じた効果
出典:『テレワークを巡る現状について』P.6-厚生労働省

 

一方で、

 

テレワークで感じた課題①【コミュニケーション・仕事とプライベートの区別】

テレワークで感じた課題②【労働時間】

テレワークで感じた課題③【環境整備・社内制度】

テレワークで感じた課題④【心理面】

出典:『テレワークを巡る現状について』P.7-10-厚生労働省

 

 

カテゴリー別に見ると、上記のような課題が各企業で多発していると言えます。

以上、「企業のテレワーク導入の実態」をデータで確認してきましたが、結論は下記3点に集約できます。

①テレワーク導入は感染症が拡大してから急速に発展している、中でも資本金や従業員規模が多い企業が先導している。(中小規模はこれから増加傾向にある。)

② 通勤時間や、会議時間という拘束される労働時間は減少したが、目に見えない労働時間は発生しており、会社としての管理が行き届いていない。

③ペーパーレス化、クラウド化、セキュリティ対策化等の整備は十分にされていないため、業務オペレーションから見直しをしなければいけない企業も多い。

 

テレワーク拡大を見据え会計事務所が取るべき戦略とは?

テレワーク導入の進捗と導入後の実態調査のデータを確認してまいりましたが、上記の内容をもとに、今後の会計事務所がどうテレワーク導入を進めていくべきか、他社のテレワーク推進をどのようにサポートしていくべきかをお伝えします。

●会計事務所としてテレワーク導入を進める

<ボトルネック>
・紙資料での管理から抜け出せない
・社内管理にしているファイルがあり、取り出せない
・作業環境(PCや別モニター)が無く、自宅で業務ができない
・機密情報を持ち出せない

<対策>
・紙資料をクラウド管理する時間/人員を確保する
・社内ルールを決め、クラウド上の管理フォルダにデータを一括管理
・備品は事務所負担で支給する

<テレワーク導入のステップ>
①一人(少人数)のモデル社員をピックアップする
②一部の業務のみを前提にする
③ 週1日のみテレワーク日を決める
④そのテレワーク日の前日までに紙資料をクラウド化しておく
⑤自宅で作業できる環境を整える
⑥社内の人間とのコミュニケーションツールを決める
⑦就業規則を定める
⑧セキュリティ面のルールを決める(自宅のみ等)
⑨出社日に課題点を吸い上げる
⑩改善し、再度テレワーク日に落とし込む
⑪メンバーや業務を徐々に増やしていく

以上のような流れで推進していくことで、スムーズなテレワーク化が可能となります。
これからのスタンダードな働き方となることを見据えて今のうちから取り組みを進めてみてはいかがでしょうか?

 

●他社のテレワーク推進をサポートし売上を作る

<ボトルネック>
・リモートでできる業務とそうでない業務の線引きができていない
・紙とハンコでの社内管理から抜け出せない
・勤怠管理ができない
・運用ルールが定まっていない

<対策>
・業務オペレーションの組み立てをする
・ペーパーレス化・クラウド化を促進する(ツールの提案をする)
・バックオフィス業務を代行する
・社内の事例を基に運用ルールを提言する

ビジネス化へのステップ
①現状ヒアリングを徹底する
②業務オペレーションを構造化してあげる
③テレワーク化できるポイントを整理する
④業務の全体構成を提案する
⑤テレワーク化のフロー図を作成する
⑥導入スケジュールを提案する
⑦テレワークメンバーを選定する
⑧システムを選定し導入をサポートする
⑨データの初期設定を提案する
⑩テストをする
⑪改善点を提案し、再度検証する

以上のような流れで、自社の事例を基に提案することで、他社のテレワーク化をサポートすることができます。
会社によっては上記のような導入サポートを20~70万円の単価でスポット的に行い、受注を増やしている事例もございます。

最後に
この瞬間も、コロナ禍を生き抜くためのサポートを行う会計事務所の皆様は中小企業の経営者様にとって、大きな支柱であり、代え難いパートナーであると思います。その尽力において、最大の敬意をもって深く感謝いたします。

2021年も、すでに半分が終わった今、本日お伝えした内容が下期以降の皆様の事務所経営において参考になれば幸いでございます。

そして、皆様の継続的なサービスの発展と事務所の成長が、コロナ禍で大きなダメージをおった日本経済の回復の土台となると信じております。

また弊社では皆様の事務所経営に向けてサポートできるよう、各種セミナーや無料の個別相談などをご提供しております。

ご興味ある方はぜひご活用ください。
ご拝読いただいき、誠にありがとうございました。

 

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【執筆者:能登谷 京祐】

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