【2024年】税理士業界の今後は?-現状と時流予測から徹底解説-
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近年、AIの台頭などにより税理士の将来性を不安視する声が一部で上がっています。
会計事務所の経営を行っている方の中には、税理士・会計士業界の現状や業界の時流予測について、気になる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、業界の現状や今後の課題を通して、会計事務所の経営を行うにあたって意識していただきたいキーワードについて詳しく解説いたします。
目次
1. 税理士の現状と将来性
会計事務所の経営を行うにあたって、税理士の現状や将来性を知ることは非常に重要になってくると考えられます。
ここで、税理士における現状や将来性を簡単にご紹介いたします。
1.1. 税理士の人口
税理士とは、税務に関する専門家であり、国家資格を保有している人のことを指します。
国税庁によると、税理士の登録者数は2015年度で75,643人、2020年度が79,404人、2021年度が80,163人と年々増加しております。
また、税理士試験受験者数は2022年は28,853人となり、前年より1500人ほど増加しました。しかし、この数は2005年の56,314人をピークに減少傾向にあり、合格率は15~20%程となっております。
そして、日本税理士連合会の「第6回税理士実態調査」によると、全税理士のうち20歳代が1%、30歳代が10%、40歳代が17%となっております。
このことから、過半数が60歳以上ということが明らかとなっており、税理士の高齢化が進んでいる現状があると言えるでしょう。
1.2. 税理士の今後は?
近年は、IT化が急速に進む時代になっており、AIが様々な業界で進出してきております。
税理士業界においても将来性を危惧する声が上がっています。
実際、税理士業界においてもAIやRPAが進出してきており、自動仕訳機能やデータの入力などの業務が税理士の代わりに行われております。
では、税理士の仕事はAIによって奪われてしまうのでしょうか?
そのようなことはありません。
なぜなら、今のところAIには、柔軟性を必要とする業務や高度な専門性が必要な業務を行うまでの技術は無いからです。
このことを踏まえると、税理士や会計事務所業界の今後は、税理士自身のこれまでの経験や知識を必要とするコンサルティング業務などが求められることとなるでしょう。
また、AIに入力などの業務を任せられることで、税理士の使える時間が増え、業務をより高度なものへと進化させることができると考えられます。
これは、会計事務所が提供するサービスの差別化にも繋げることができるでしょう。
2. 2022年の振り返りからわかる今後の注目ポイント
船井総研の運営する「経営研究会」では現在200事務所を超える会計事務所様にご所属いただいております。
毎年年末の定例会では、1年の活動を振り返っていただくアンケート調査を行っており、傾向を分析して皆様にお伝えしています。
これからお伝えする内容は
2021年のアンケート集計結果と、2022年の集計結果を比較した際に出てきたポイントをまとめたものになりますので、ぜひ今後の参考にしてください。
<成長ポイント>
1~3億規模の事務所では経理コンサル事業に新規参入する割合が増えている。
その中でも事務所全体の売上が平均1,000万円ほど伸びている傾向にあった。
→非資格者でも売上を作れる仕組みづくり
<停滞ポイント>
平均残業時間が10時間増加、離職率も比例して増加傾向に。
→コロナでリモートワークが浸透するも、引き続き組織運営に課題が残る。
<注目ポイント>
全体的にクラウド会計ソフトの利用率が着実に上昇している。
→顧客からのニーズの高まりが要因。
平均2~3つの会計ソフトに絞っている事務所が増えていた(1つは既存のメイン、他2つはクラウド会計ソフト等)
このような流れが2023年にも影響するとしたら・・・
次からは、今年起こるであろうことを予測しながら対策について触れたいと思います。
3. 2023年に税理士・会計士業界で起きうることと、2つのキーワード
上記のアンケート結果や、業界のニュース、日本の経済動向から見ると、下記の「10の出来事」が想定できます。
①業界TOP100事務所のシェアは拡大し、二極化が進む。
②デジタル投資/転換による影響が業績へ直結する。
③クラウド/デジタル対応をきっかけとする税理士変更は加速する。
④今回の法改正を機に事務所を畳んでしまうケースが増える。
⑤Webマーケティング単体のプル型手法は衰退する。
⑥CRM/メルマガ/チャットを導入する事務所が増え、DXがより進む。
⑦メールマガジンを主とするプッシュ型営業にシフトしていく。
⑧小型・大型合併、異業種合併、他士業の参入等の事例が増える。
⑨大手事務所採用はより強化され、青田買いをする事務所が増える。
⑩タイムパフォーマンスの流行からBPOに注目が集まり、改めてアウトソーシング
業務の在り方を見直す事務所が増える。
上記のことが想定される中で、事務所経営として意識してほしいキーワードは
「Z世代活用」と「デジタルマーケティング」です。
2023年の法改正等から、一般企業側の「クラウド化ニーズ」は高まると想定され、
そのための事務所体制の整備ができていないところは急いで対応することが望まれます。
これからの繁忙期は目の前の仕事に集中しなければいけないタイミングかとは思いますが、
スタートダッシュを切るために、ぜひ本日の内容は頭の片隅に記憶しておいていただければ幸いです。
【執筆者:能登谷京祐】