税理士業界・会計業界の今後は?2026年予測と生き残る事務所の共通点
目次
はじめに
いま、会計業界は大きな転換点に差し掛かっています。
「記帳代行のニーズがなくなり、税理士の仕事はAIに奪われる」――。
ここ数年、何度も耳にしてきた話かもしれません。ですが2026年を目前にして、この話がいよいよ“他人事では済まない現実”として迫ってきています。
ただ、現場で多くの会計事務所をご支援している立場からお伝えすると、必要以上に悲観する局面でもありません。
むしろここから先、「労働集約型」から抜け出すきっかけになる。そう捉えている事務所も増えています。
本コラムでは、当社が整理した最新の時流予測をもとに、2026年に向けて伸びる事務所が何を考え、どう動き始めているのか。
そのポイントを、できるだけ分かりやすくまとめました。
経営者の皆様が次の一手を考える材料になれば幸いです。
マクロ環境の変化と2026年に直面する「4つの壁」
2026年、会計業界はこれまでの延長線上にない構造的な転換点を迎えます。 「人口・資源減少」「法人数減少時代へ突入」「インフレ」が同時進行する中、従来の「ヒト・モノ・カネ」投下型から「データ活用(データドリブン)=LTV(顧客生涯価値)UPモデル」へのシフトが成長の条件となります。
減っていくマーケットで「数」を追うのではなく、一顧客当たりの「単価」をどのように上げていくのかが重要なテーマです。
そのためにも、法人の顧問先データや相続の相談者のデータをいかに蓄積し、顧客インサイトに気が付き、必要なものを提案できるかが要諦となります。
▼PEST分析から見る4つの変化
【政治】手続き代行から「高付加価値化」へ
行政DXにより代行業務の価値は低下。インボイス・電帳法対応を通じた「経理改善」や、申請代行に留まらない「財務支援」が求められます。
【経済】労働集約型の限界と「二極化」
人件費増により従来の顧問料モデルは限界に。「生業」か「組織型」かの二極化が進む中、生産性重視の価格転嫁が急務です。
【社会】採用難を越える「選ばれる組織」へ
給与等の条件面だけでなく「理念(PMVV)」や「キャリアパス」への共感が採用・定着の鍵となります。
【技術】AI活用による「生産性格差」
テクノロジー活用有無で生産性に「2倍」の格差が生まれています。AIを脅威ではなく「第2の人材」として組織に組み込む必要があります。
2026年の会計業界で重要なこと
2026年以降の会計事務所経営を左右するポイントは、突き詰めると2つです。
「AIの内製化」と「人時生産性の改善」。ここに集約されます。
AIを単なるツールではなく労働力として活用する
これからのAIは、単なる業務効率化ツールに留まりません。
事務所の中に組み込むべき“第2の人材(労働力)”として捉え直す必要があります。
記帳などの定型業務はAIへ。
人は、経営判断に直結する支援へ。
この役割分担が進むほど、事務所としての強さは増していきます。
実際、テクノロジー活用の度合いで「1人あたり生産性の差」が広がりつつある状況は、見過ごせなくなっています。
「人時生産性」の重要性が高まる
「1人あたり売上」を目標に掲げる事務所は多いと思います。
ただ、これからは労働時間も含めて考える「人時生産性」で見ないと、改善点が見えにくくなります。
船井総研の調査(n=115)では、業界の1人あたり売上の中央値は約1,021万円となっています。
一方で、人時生産性は組織化の過程(売上1億〜2億)で一度落ち込み、3億を超えると再び伸びる傾向が見えています。
多くの事務所がこの“壁”で一度つまずきます。
逆に言えば、ここを越えられると次の成長が加速します。
勝ち筋はどこにあるか?「高生産性新商品」の展開
「どうすれば伸びるのか?」
現場でよく聞かれるテーマですが、答えは意外とシンプルです。
既存の顧問業務に加えて、どれだけ“高生産性な新商品”を組み込めるか。
ここで伸び方が変わります。
成長ステージに応じて、商品構成を意図して作れる事務所ほど、伸びるスピードが早い印象があります。
クラウド創業顧問(年商5,000万円〜8,000万円フェーズ)
新設法人数は右肩上がりで増加しています。
ここに、クラウド会計活用を前提とした創業支援パッケージを投入することで、未経験スタッフでも早い段階から顧問担当を持てる体制が作りやすくなります。
コンパクト相続(年商8,000万円〜1.5億円フェーズ)
財産額5,000万〜1億円程度の「準富裕層」に絞り、業務を標準化します。
税理士の関与率を15%以下まで下げつつ、単価を確保するモデルです。
相続を“属人化させずに回す仕組み”が作れれば、収益の柱になり得ます。
経理コンサル・BPO(年商1.5億円〜3億円フェーズ)
人手不足の中小企業にとって、バックオフィス改善は税務以上に切実なテーマになっています。
顧問先の期待と実際のサービスのギャップが大きい領域だからこそ、チャンスも大きい。
ここを伸ばせる事務所は、強いです。
理念経営こそが、AI時代の最強の武器になる
最後に、コンサルタントとして一番お伝えしたいことがあります。
テクノロジーが進化すればするほど、逆に「経営者の想い」や「理念」が差になります。
これは、現場で支援していると強く感じます。
採用市場も変わってきました。
給与だけで職場を選ぶ時代ではなく、「なぜこの事務所で働くのか」というPMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)が見えるかどうかが、採用・定着に直結します。
AIは業務を代行できます。
ただ、顧客の感情に寄り添い、信頼を積み上げ、一緒に未来を描くことはできません。
理念を軸に高付加価値業務へ注力し、生産性も上げて、給与水準も引き上げていく。
この形を作れる事務所が、2026年以降も強く伸びていくはずです。
会計業界 時流予測レポート 2026:詳細のご案内
ここまでお伝えした内容は、今後起こる変化の一部にすぎません。
2026年に向けて、貴所がどのフェーズにいて、何を優先して進めるべきか。
その全体像を体系的にまとめたのが、本レポートです。
本レポートでは、以下のような内容を整理しています。
・115事務所の最新データに基づく生産性ベンチマーク
・売上規模別の「成長ステップイメージ図」
・AI・クラウド・CRMを武器に変えた全国の成功事務所事例
目の前の業務に追われながら、将来に不安を抱えたまま進むのは、今日で終わりにしませんか。
本レポートが、貴所の未来を切り拓くための「地図」になれば幸いです。
皆様の事務所が時流を捉え、さらなる成長を遂げられることを心より願っております。

































